東京に続いて、『蒼白者 A Pale Woman』は8月10日土曜日から仙台市の桜井薬局セントラルホールで公開される。
これは僕にとって、待望の、待ちに待った、渇望していた上映になるのだけれど、その理由はセントラルホールの中心人物・小野寺勉氏との出会いがあった30年前にさかのぼる。
当時大学生だった僕は仙台の映画の情報誌「き~の」(現在休刊)のスタッフとなって、そこで、同じスタッフでありセントラルホールに勤務している小野寺氏と知り合ったのだった。
東映映画に入れあげている小野寺氏からは加藤泰や鈴木則文の素晴らしさを教えられ、当時作った8ミリ映画『にっぽにーず・がーる』の1シーンをセントラルホールで撮らせてもらったりもした。
その後僕が監督を志し上京した際には「常本くんが映画を作ったら、ウチでかけるから」と言っていただき、その言葉が僕の大切な支えとなっていたのだった。
恩ばっかりだ。
そのあと僕には映画の企画がいくつも生まれては消え、一方で仙台もシネコンの台頭により街中のミニシアターにはつらい風が吹いてきたようで、セントラルホールも何度か大変な局面があったと聞いた。
仙台に足を運ぶたび「早く映画作ってもらわないと、ウチもいつまであるかわからないよ」と冗談交じりにいわれ、そのたびに焦る気持ちはあったのだが、こればかりは焦ってもどうしようもなかった。
そしてようやく、30年ぶりにその機会がめぐってきました。初日前日・9日金曜には、僕の過去作も上映してもらえる予定です。
お近くの方は、是非お越しください。
東京上映は笑顔で迎えた僕ですが、仙台上映の初日は、泣き顔で迎えると思います。
常本琢招